尿検査とは?

尿検査では腎臓や尿管、膀胱、尿道などの泌尿器や肝臓など様々な臓器の異常を調べることのできる検査の一つで、犬や猫に多い膀胱炎や糖尿病、腎臓病などの診断に重要です。特に腎臓病では血液検査よりも尿検査のほうに先に異常が出てきます。
 

どんな時に行う?

尿検査はどんな時に行った方がいいのでしょうか?
以下に纏めてみました。

 ・血尿
 ・頻尿(排尿回数が多いこと)
 ・多尿(一回の尿量が多いこと)
 ・排尿時に尿を出しずらそうにしている
 ・キラキラしたものがトイレに付着している
 ・いつもと比べて濃いまたは薄い尿が出ている
 ・健康診断のため

基本的になにか尿に異常が出た時から、日常の健康診断時などにも行うことをお勧めします。

主な採尿方法

◇家庭でできる採尿方法
 <犬の場合>
 ・ペットシーツを裏返し、その上に排尿したものをスポイトなどで吸い取る。
 ・排尿時に紙コップなどの入れ物に直接入れる。
 ・ビニールシートやラップなどをトイレに敷き、採尿する。

 <猫の場合>
 犬の場合に加えて以下のような方法があります。
 ・トイレの猫砂を極力少なくし、猫砂に吸収されなかった尿を猫砂が混じらないように注意して採尿する。
 ・システムトイレにシーツを敷かずに引き出しに尿をためて採尿する。

 採尿後は尿を密封できる容器に入れ、できるだけ新鮮な尿(理想は採尿後3時間以内)を動物病院へ持っていきましょう。採尿後時
間が経ってしまった尿は検査結果に影響が出てしまい、正しい検査結果がわからなくなることがあります。すぐに持っていくことが
難しい場合は冷蔵庫で一時的に保存すると良いでしょう。
 

◇病院での採尿方法
 採尿方法により得られる検査価値が異なるのでその時に適した方法で行われます。
 ・自然排尿
  家庭でできる方法に似ており、採尿用カップを用います。尿を採取する専用のウロキャッチャーというものを使う場合もありま
す。
 ・圧迫採尿
  腹部を触診して尿が貯留していることを確認した後、膀胱を圧迫して排尿させ、採尿用カップやウロキャッチャーで取ります。
・膀胱穿刺
  安全な状態で膀胱に注射器を刺して直接採尿する方法です。無菌的に採尿できるので尿を細菌培養するのに最も適した方法です。超
  音波(エコ ー)を用いて行います。
 ・カテーテル採尿
  カテーテルを尿道から挿入して採尿する方法です。
 
 

検査内容

◇一般性状(外観)
 ○色調
 ・淡黄色~黄色:正常
 ・暗黄色、橙黄色、橙褐化:腎障害(ビリルビン尿)
 ・赤色、赤褐色:腎障害(ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿)
 ・褐色、黒色化:腎障害
 ・混濁:感染性膀胱炎
 ○臭気:感染性膀胱炎
 ○透明度
 ○尿比重(尿の濃さ)
 ・尿中に溶けている物質の濃度を示し、水分量に対し溶けている物質の濃度が高ければ尿比重は大きくなる。尿蛋白や尿糖が存在す
るとさらに上昇する。
 ・低いと希釈尿の可能性
→この検査で疑われること:脱水、血尿、膀胱炎、糖尿病、腎疾患、尿路感染症
 
◇化学的性状:尿試験紙での検査
 ○尿pH、
  pHが正常値より高くても低くても結石(結晶)が形成される原因となる。
○尿蛋白
 尿蛋白が出現すると尿比重が大きくなる。
 ○尿糖
  通常、尿細管でグルコースは再吸収されるが再吸収されなくなると尿中にグルコースが排出される。
○尿ビリルビン
  大半のビリルビンは腸管へ排出されるが、血清ビリルビンが多くなると尿中へ排出される。
○ケトン体
  尿細管で再吸収される量を上回ると尿中へ排出され、主なケトン体にアセト酢酸やβ-ヒドロキシ酪酸がある。ケトン体の出現によ   
  り尿は酸性に傾く。
○尿潜血
  通常、尿には赤血球やヘモグロビンなどは含まれない。尿中にこれらが排出されること は尿管の損傷などが疑われる。
 →この検査で疑われること:腎疾患、糖尿病、肝臓や胆道系の疾患、溶血性疾患
 
◇尿沈渣:尿を遠心分離し、沈殿した成分を調べる
 赤血球、白血球、細胞、細菌、結石などが沈査として現れることがある。
→この検査で疑われること:尿路感染症、腎疾患、結石、腫瘍
 
 

検査によって判明する主な疾患

◇膀胱炎
 膀胱が細菌などの感染により炎症を起こす病気。重症化すると上行性に腎臓に炎症が波及することもある。細菌感染を伴わない突発 
 性膀胱炎や結石性の膀胱炎もある。
◇尿結石
 ミネラルが過剰になり、結石が腎臓、尿管、膀胱や尿道にできる病気。犬猫ではストルバイト尿石症とシュウ酸カルシウム尿石症が
 多い。血尿、頻尿がみられることがある。
◇腎臓病
 特に慢性腎臓病(CKD)は高齢の猫で多発する病気で、初期症状の一つによくお水を飲み薄いおしっこをたくさんする多飲多尿があ
 る。
◇糖尿病
 人でも患者数の多い病気で、犬や猫もなりやすい。多飲多尿がみられ、尿検査で尿糖が確認される。肥満によりリスクが高まる。
◇腫瘍(移行上皮癌(膀胱・尿道)、前立腺癌)
 これらの腫瘍の症状は血尿、頻尿など尿石症と似ている。尿検査はとても有用な検査である。

このほかにも尿検査は様々な尿路感染症、泌尿器疾患、肝疾患、副腎疾患の診断に有用です。
 
 

まとめ

この記事では尿検査について説明しました。犬や猫がおしっこしようとするが出ない、頻尿、そそうが増えた、回数が多くなった、飲水量が増えた、色がいつもと違う(薄い、赤っぽい、オレンジ、きらきらしている、濁っている)などの異常がみられたらかかりつけの動物病院に相談しましょう。異常がみられなくても、1年に1回(7歳以上では半年に1度)尿検査をするのが良いでしょう。