リクガメの飼育を始める前に
リクガメは、のんびりとした愛らしい姿と丈夫で飼いやすい性質に加え、昆虫食にこだわらないことから、ペットとして高い人気を誇ります。しかし、健康で長生きさせるためには、彼らの生態を理解し、適切な飼育環境を整えることが不可欠です。この記事では、リクガメの飼育に欠かせないポイントを詳しくご紹介します。
1. 飼育環境を整えよう
リクガメが快適に過ごせる環境は、病気を予防し、健康的な成長を促すために非常に重要です。
ケージサイズ
ケージは、リクガメが自由に動き回れる広さを確保することが大切です。ケージの大きさは、リクガメの甲羅の長さの約5〜10倍が理想とされています。リクガメの甲羅の長さが10cmであれば、50〜100cm程度のケージを用意しましょう。
※基本的に大型種(ケヅメリクガメ、ヒョウモンリクガメ、アルダブラゾウガメetc..)以外は90cm以上のケージサイズを確保しましょう。大型種は最終的なアダルトサイズまで成長したら、一部屋をその子に充てる程度の余裕が必要になるかと思われます。
床材
床材には、ヤシガラ、爬虫類用土、ペットシーツ、新聞紙などが使用されます。カメが誤って食べてしまわないように、簡単に飲み込めないものを選びましょう。
温度管理
リクガメは変温動物であり、自力で体温を調節できません。ケージ内に「ホットスポット」と「クールスポット」を作り、彼らが好きな温度の場所を選べるようにすることが非常に大切です。
・ホットスポット(暖かい場所):32〜35℃
・クールスポット(涼しい場所):25〜27℃
ホットスポットにはバスキングライトを設置し、ケージ全体を温めるにはパネルヒーターやセラミックヒーターを併用しましょう。
湿度管理
飼育しているリクガメの種類によって適切な湿度は異なりますが、一般的に50〜70%が目安です。温湿度計を設置して常にチェックし、乾燥しすぎないよう霧吹きなどで調整してください。逆に湿りすぎるとカビや雑菌の繁殖を助けてしまうため、適切な管理が推奨されます。
2. 毎日の食事と水やり
健康なリクガメを育てるためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
餌の種類
リクガメは主に草食性です。主食には、小松菜、チンゲンサイ、タンポポ、オオバコなどの葉野菜を中心に与えましょう。レタスは栄養価が低いものの、水分を多く含むため脱水になりやすい時期にはおすすめです。
市販されているリクガメ専用フードは、栄養バランスが考慮されているため、毎日の食事に取り入れると良いでしょう。
また、ネギやニンニク、ほうれん草は中毒や尿管結石のリスクがあるため控えた方が無難でしょう。
餌の量
餌の量は、リクガメの体重の5〜10%を目安に、毎日与えましょう。例えば、体重100gのリクガメなら、1日で5〜10gの餌を与えます。多すぎると肥満や尿酸結石の原因になります。
サプリメント
食事だけでは不足しがちなカルシウムやビタミンD3を補給するために、爬虫類用のサプリメントを餌に振りかけて与えましょう。特に、骨や甲羅の形成に重要なカルシウムは、不足すると代謝性骨疾患(MBD)などの病気を引き起こします。
水入れ
いつでも新鮮な水を飲めるように、浅めの水入れを設置してください。毎日水を交換し、清潔に保つことが大切です。
3. 健康チェックと注意点
・日光浴: リクガメは、日光を浴びることで体内でビタミンD3を生成し、カルシウムの吸収を促します。紫外線(UVB)ライトを設置するか、天気の良い日には安全な場所で日光浴をさせてあげましょう。よくある失敗として、UVカット仕様の窓ガラスを通して日光浴を行うパターンがありますが、日光浴でUVBを摂取させる場合は、直射日光に晒してあげる方がいいでしょう。
・便と尿酸: 毎日、便と尿酸の状態をチェックしましょう。便の形や色、尿酸の量や状態は、健康状態の重要な指標となります。
・温浴: 定期的にぬるま湯(30℃前後)で温浴させると、水分補給や排泄を促すことができます。
まとめ:リクガメとの楽しい生活のために
リクガメは、適切な飼育環境と栄養管理を行うことで、長く健康に暮らしてくれる素晴らしいパートナーです。
・甲羅の5〜10倍の広さのケージを用意する。
・体重の5〜10%の餌を毎日与える。
・温度と湿度を適切に保ち、UVBライトも設置する。
これらのポイントを実践して、ぜひ楽しいリクガメライフを送ってください。何か困ったことがあれば、いつでも当院にご相談ください。