超音波検査とは?
超音波検査とは、犬や猫の臓器の形や大きさ、その動きを白黒のモニターや赤や青のカラードップラーと呼ばれる表示上で確認することのできる侵襲性の少ない検査の一つで、臓器の状態や異変を素早く把握することができます。さらに、腫瘍や結石、炎症が発見された場合ではその組織や尿などを採取して病理検査を行い、種類や腫瘍の良性ないし悪性を判断することも可能となります。犬や猫では主に心臓、肺、肝臓、胆嚢、腎臓、膀胱、卵巣、子宮、前立腺、脾臓、十二指腸などの臓器を確認することが可能です。
超音波検査の種類
○胸部超音波検査
心臓にエコーをあてることでその動きや心臓癖の厚さ、弁、内部構造、血流、胸水の有無、心臓病の種類とその重症度を確認する
ことができます。カラードップラーを用いて血流の流れに乱れがないか、逆流がないか、またその速度などを調べることができま
す。また、肺水腫などのような救急疾患の迅速な病態判断にも用いられます。
○腹部超音波検査
腹腔内臓器(胃や腸、肝臓など)の形や動き、腫瘍、腹水の有無などを確認することができます。
超音波検査は無麻酔で行うことができ、侵襲性が少なく痛みもないため犬や猫に負担が少ない検査の一つです。また、胃や腸などの消化器に対して検査を受ける場合、食物が邪魔をしてしまって検査で確認したい部位が隠れてしまい、よく映らなくなるため当日は絶食して来院することが推奨されます。これらの検査にかかる時間は検査部位などによって多少前後しますが、およそ10~30分ほどです。なお、病理検査の場合は検体を外部機関に送りさらに調べてもらうため2~10日ほどかかる場合があります。
超音波検査によって判明する主な疾患
以下に超音波検査により判明する代表的な疾患を挙げます。
○心臓病(大動脈狭窄症、肺動脈狭窄症、心房中隔欠損症、動脈管開存症など)
心エコー図検査が有用。
○肝疾患(慢性肝炎、門脈体循環シャント、胆嚢炎など)
腹水や血管、臓器の確認に有用。
○腸閉塞
腸重積など様々な原因でみられる病態で超音波検査は有用性の高い検査法でモニター上ではドーナツ状に見える。
○膵炎
膵臓の自己消化により炎症が起こる病気。超音波検査では腫大した膵臓が確認される。
○副腎皮質機能亢進症
コルチゾールが過剰に分泌される疾患で、その多くは糖尿病を併発している。特に猫では超音波検査が有用である疾患の一
つ。
○甲状腺機能亢進症
甲状腺にできた腫瘍などによって甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気。
○前立腺肥大
雄犬に起こる病気で精巣から分泌されるホルモンが発症に関わる。超音波検査で前立腺 の状態を知ることができる。
○子宮蓄膿症
子宮に細菌が感染し炎症を起こし、膿がたまる病気。膿が外陰部から排出される開放性と排出されない閉鎖性がある。見た目から異
常が見つかりにくい排出されない閉塞性のものの診断に特に有効。
○膀胱結石
様々なミネラル成分が結晶化してしまい膀胱に結石を作る病気。超音波検査で結石の数やどこに発生しているか、尿道閉塞などの詰
まりが無いかを確認する。
この他にも様々な腫瘍や胸水、腹水の貯留の確認にも用いられます。
まとめ
この記事では超音波検査について解説しました。超音波検査は無麻酔下で行い、侵襲性のない検査であるため動物へ比較的やさしく、負担が少ないことからとても有用な検査の一つであるといえます。この検査により上記のような疾患が発見されることに加え、定期的な健康診断時にも同じく有用な検査であるといえるでしょう。