1.猫のワクチンはなぜ必要?


感染性も致死性も高いこわい病気を予防しよう


ワクチンで予防できる感染症は6種類ありますが、ワクチンの種類は大きくコアワクチンとノンコアワクチンの2種類に分かれます。

コアワクチンとは、完全室内飼いの猫も接種を強く推奨するものです。なぜなら、野良猫の鼻水が付着した網戸や動物病院の待合室など、猫との直接的な接触がなくても感染してしまう3種類の感染症を予防するものだからです。特に、コアワクチンに含まれる猫汎白血球減少症、通称猫パルボウイルス感染症は、通常の環境下で数ヶ月から数年感染性を維持できる感染力の高いウイルスであり、かつ幼弱猫では致死率が75〜90%と言われています。予防できるのであればしない手はない、そんな恐ろしい感染症です。

脱走のリスクや野良猫との接触がある可能性のある場合は、ノンコアワクチンに分類される感染症の予防も必要となってきます。ノンコアワクチンには、3年以内に80%死亡するとされる、非常に予後の悪い猫白血病ウイルス感染症も含まれます。

以下の表に、コアワクチン、ノンコアワクチンで予防できる感染症の種類と、感染源となるものを挙げておきます。


2.猫のワクチンの種類




猫のワクチンは主に3種類あります。以下の表にそれぞれのワクチンで予防できる感染症をまとめます。


3.猫のワクチンにも副作用はある?



ワクチンは感染症を予防できますが、高頻度で接種すればいいわけではなく、副作用もあります。しかし、実際に副作用が生じることはかなり稀であり、また、ワクチン接種の実施においては健康状態の問題などにより副作用が発生するリスクが高くないか、事前に体調の確認のための検査が獣医師によって行われます。
大事なのは、ワクチン接種を行なった後は以下のような症状(特に接種後2〜3時間以内に現れるものに注意)がないかどうか猫を観察することです。もし副作用が生じてしまっても、動物病院で症状の緩和処置、重症な場合の救命措置ができるので、すぐに病院に連れて行けるようワクチン接種は午前中に行うことが推奨されます。

・嘔吐、下痢
・呼吸困難
・顔面または全身のそう痒、顔の腫れ
・失神
・発熱
・元気消失
・注射部位の痛みや腫れ(1ヶ月以上持続するもの)

4.猫のワクチンの接種時期、頻度を考える



猫のワクチンは年齢により接種時期、頻度が異なる

ワクチンとは体内に病原体に対する抗体を作らせるものであり、接種時期、頻度が1歳未満の子猫と成猫で異なります。以下の表に、猫の年齢ごとのワクチン接種の頻度をまとめます。



ここから、なぜ年齢により接種時期が異なるのか説明していきます。

子猫は生後4ヶ月までの接種頻度がとくに大事

初乳を飲むことができた子猫は、移行抗体というものを持っています。
移行抗体の特徴には、

・存在している間は感染症から身を守る
・存在している間はワクチンの効果を打ち消す。
・8週齢から次第に減少し、16週齢には完全に消失する

というものがあります。
以上のことから、移行抗体が消失した直後にワクチンを接種する必要がありますが、いつ消失するかは分かりません。
そこため、

・いつどの病原体に対する移行抗体が消えてもいいように早くから接種を始める
・いつまで移行抗体が持続していてもいいように遅くまで接種を続ける
・移行抗体が消失してからワクチンによる免疫を得られるまでの無防備な期間を作らないようになるべく接種間隔を短くする

これらのことが大事になります。

接種開始は5〜8週齢、接種間隔は3〜4週、最終接種は16週齢とされているので、生後4ヶ月くらいまでに3〜4回接種することになります。また、6ヶ月齢から1歳までに1回接種することで、猫の初年度のワクチネーションプログラムは完了します。

まとめ

猫に必要な混合ワクチン接種をみんなで行うことで、感染症から自分の猫や周りの猫を守ることに繋がります。もし、質問などありましたらお気軽に獣医師にご相談くださいね。