甲状腺機能低下症とは?

甲状腺は、体の代謝を調整するホルモンを作る臓器です。
このホルモンが不足すると、全身の機能が低下し、さまざまな症状が現れます。

主な症状

  • 元気がなく、動きが遅くなる
  • 食事量は変わらないのに太る
  • 毛がパサつく、抜ける
  • 皮膚が乾燥し、かゆみやフケが出る
  • 外耳炎や皮膚炎が治りにくい
  • 寒がりになる
  • 心拍数が低下する

特に中年以降の犬に多く見られます。

⚠ 似た症状に注意「ユーサイロイドシック症候群(ESS)」

別の病気やストレスで、一時的にT4が低くなることがあります。
これは甲状腺の異常ではなく、体の防御反応です。

診断のポイント

当院では以下の血液検査を組み合わせて診断します:

  • T4(総サイロキシン)
  • fT4(遊離サイロキシン)
  • TSH(甲状腺刺激ホルモン)

T4単体では診断できません。
ユーサイロイドシック症候群や体調の影響を考慮し、慎重に判断します。

犬種による違いにも注意!

グレイハウンド、サルーキ、ボルゾイなどのサイトハウンド系犬種では、生理的にT4値が低く出ることがあります。
このため、数値だけで判断せず、犬種特性を考慮した診断が必要です。

治療について

  • 甲状腺ホルモン製剤(チロキシン)を毎日投与
  • 数週間で元気や毛ヅヤが改善することが多い
  • 定期的な血液検査で投薬量を調整します


飼い主さまへ

こんな様子、見られませんか?

  • 急に動かなくなった
  • 太ったのに食べすぎていない
  • 毛並みや皮膚の調子が悪い


「年のせいかな」と思っても、甲状腺機能低下症の可能性があります。

気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。自己判断でのサプリメント使用は避けましょう。
正確な診断がとても大切です。