ワクチンや予防接種は大切な犬を感染症から守るためにとても重要なものになります。この記事では犬のワクチン・予防接種の種類や費用、スケジュール、副作用、注意点などを徹底解説します。

犬のワクチンの種類について


犬のワクチンは主に「狂犬病ワクチン」と「混合ワクチン」の2つに分けられます。

狂犬病ワクチン

狂犬病ワクチンは、厚生労働省が定める狂犬病予防法により、全ての犬が毎年接種を義務付けられているワクチンです。
狂犬病は治療法がないため、発症するとほぼ100%の確率で死にいたる病気です。
子犬の場合は飼い始めてから30日以内に、成犬の場合は毎年、年度内に1回狂犬病ワクチンを接種をするようにしましょう。

混合ワクチン

混合ワクチンは複数の病気の組み合わせで、2種混合から11種混合まで種類があります。
その中でも致死率や感染力の高さから、全ての犬に接種が勧告されているコアワクチンと、生育環境や地域によって接種が推奨されるノンコアワクチンに分けられます。

混合ワクチンは、あくまで飼い主が任意で摂取するワクチンとはなりますが、犬を感染症から守るためにも接種は必ずした方が良いでしょう。また、ドッグランやペットサロンなどの他の犬も利用する施設では、3種以上の混合ワクチンの摂取証明書がないと利用できない施設が多いようです。

どの種類の混合ワクチンを接種すれば良い?

基本的にはコアワクチンを含む5種、もしくは6種のワクチンが主流となります。
ただし、多頭飼いをしていたり、アウトドアによく出かける場合は犬レプトスピラ感染症のワクチンが入っている7種以上の混合ワクチンを勧められる場合があります。
どのワクチンを接種すれば良いか分からない場合は、生育環境を獣医師に説明し、相談してみると良いでしょう。

犬のワクチンの接種スケジュール|毎年打つべき?


犬のワクチン接種スケジュールは子犬と成犬で異なります。

子犬のワクチンスケジュール


○混合ワクチン1回目:生後8週間前後
○混合ワクチン2回目:1回目のワクチンから3〜4週間前後
○混合ワクチン3回目:2回目のワクチンから3〜4週間前後
○狂犬病ワクチン:3回目のワクチンから1ヶ月後

子犬は母親の初乳から免疫を貰うことで感染症から身を守りますが、生後2ヶ月程度になるとその免疫が薄れてきます。
この生後2ヶ月のタイミングで1回目のワクチンを接種しますが、母親から貰った免疫が残ってワクチンの効果を弱める可能性があるため、2回目・3回目のワクチンを接種する必要があります。

狂犬病ワクチンは混合ワクチンと同じタイミングで打つことはできません。狂犬病ワクチンと混合ワクチンどちらを先に接種するかは医師によって判断が異なるため、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

成犬のワクチンスケジュール|毎年打つべき?

成犬の場合、狂犬病ワクチンは毎年必ず接種が必要となります。混合ワクチンも基本的に1年に1回の接種を勧める病院が多いです。

混合ワクチンを毎年接種する必要はあるのか?

狂犬病ワクチンとノンコアワクチンは抗体の持続期間が1年となるため、毎年の接種が必要となります。
コアワクチンに関しては最近の研究により、3年程度抗体が持続すると言われているため「愛犬に身体の負担をかけてまで毎年ワクチン接種をする必要は無いのでは?」と考える方も増えてます。
ただし、個体によって抗体の持続力は異なるため、実は抗体が持続していなかった、という可能性も十分に考えられます。
万が一のことを考えて毎年接種するか、もしくは抗体検査を受けて抗体があるか確認した上で接種をするか判断すると良いでしょう。

犬のワクチンの値段、費用


病院によって接種の費用は異なりますが、狂犬病ワクチンと混合ワクチンの費用は平均的に、以下の価格帯であることが多いです。

○狂犬病ワクチン:3000円〜4000円程度
○混合ワクチン2〜6種:3000円〜8000円程度
○混合ワクチン7〜11種:6000円〜10000円程度
○抗体価検査:6000円〜8000円程度

正確な費用に関してはかかりつけの獣医師に確認しましょう。

犬のワクチンの副作用について


ワクチン接種後は副作用が出る恐れがあるため、接種当日は安静に過ごし、飼い主は犬の様子をしっかりと観察するようにしましょう。

アナフィラキシーショックについて

アナフィラキシーショックは、接種後数分〜1時間以内に出る急性の副作用のことを指します。ぐったりしたり、呼吸困難、痙攣、チアノーゼ(口の粘膜や舌が青紫色になる)等の症状が出た場合はすぐに病院に連れていきましょう。治療が出来ないと死に至る危険性もあるため、ワクチン接種から1時間以内は絶対安静にして、犬の様子をよく観察しましょう。

アレルギー反応について

アレルギー反応は接種後数時間〜数日以内に出る副作用のことを指します。接種部位のみでなく、顔面や全身の腫れやむくみ、痛み等が出る場合があります。アナフィラキシーショックに比べて命に関わることは少ないですが、心配な症状が出ている場合は獣医師に相談しましょう。下痢や嘔吐、食欲の低下が見られることもあります。

ワクチン接種後の注意事項|散歩とシャンプー

散歩はいつからして良い?

子犬の場合は最後のワクチンを接種してから2〜3週間後がお散歩デビューの目安となります。
成犬の場合は接種後2〜3日は安静にした方が良いですが、短めの散歩であれば当日行っても問題ありません。ただし、いつもより元気がなかったり、食欲不振等の症状が見られる場合は、無理に散歩はしないようにしましょう。

シャンプーやトリミングはいつからして良い?

シャンプーやトリミングも犬にとっては身体に負担のかかる行為です。
ワクチン接種後は2〜3日はシャンプーやトリミングは避けてください。また、ワクチン接種の前日も同様に、シャンプーやトリンミングは行わないようにしましょう。