はじめに
愛らしい表情と大人しい性格で人気のレオパードゲッコー、通称「レオパ」。爬虫類飼育の入門種として知られていますが、正しい知識を持って飼育することが、レオパの健康と長寿につながります。この記事では、はじめてレオパを飼う方のために、適切な飼育環境や日々のケアについて、獣医師の視点から解説します。
1. 飼育環境を整えよう
レオパが快適に過ごせる環境を整えることは、病気を防ぐ上で最も重要です。
ケージ
レオパ1匹に対して、幅30cm以上のガラス製ケージがおすすめです。通気性を確保しつつ、温度や湿度を管理しやすいものが適しています。
多頭飼いは特別な理由がない限り(繁殖目的)お勧めしません。メス同士であれば問題ないと言われることもありますが、発情にともなった喧嘩などの可能性を考え、基本的にはバラバラのケージで飼育した方が良いでしょう。
床材(底砂)
誤飲による腸閉塞を防ぐため、ペットシーツ、キッチンペーパー、または爬虫類専用のデザートソイル(土) を使うのが安全です。特に初心者の方は、誤飲のリスクが低い紙類から始めるのが良いでしょう。
温度管理
レオパは変温動物のため、自分で体温調節ができません。ケージ内に「ホットスポット」と
「クールスポット」を作り、レオパ自身が好きな場所を選べるようにしましょう。
注)一般的な推奨温度
・ホットスポット(暖突・パネルヒーター付近):28~32℃
・クールスポット(シェルター内など):25~27℃
パネルヒーターはケージの底面の一部(約1/3~1/4程度の面積)に設置し、ケージ全体の温度を上げるために暖突(だんとつ) やバスキングライトを併用するのが一般的です。
湿度管理
ケージ内の湿度は40~60%を目安にしましょう。特に脱皮前は湿度を上げる必要があります。
ウェットシェルター:一般的に販売されている湿度を保つ隠れ家で構いません。上部に水を満たしておくことでシェルター内の湿度を高く保つことができ、特に脱皮をスムーズに行うために非常に重要です。
霧吹き:ケージ内の一部に1日1,2回程度、軽く霧吹きをして湿度を調整します。
2. 日々の食事と水やり
健康なレオパを育てるためには、適切な食事も欠かせません。
主な餌
レオパは昆虫食です。
・コオロギ
・デュビア
・ローチ
・ミルワーム
これらの生き餌がメインとなります。栄養バランスを考えて、カルシウムパウダーやビタミン剤を餌にまぶして与えましょう。生き餌が苦手な方には、昆虫の栄養を凝縮したレオパ用の人工飼料も市販されています。
(初心者の方へのおすすめはイエコオロギです。採食時の抵抗によるレオパの怪我の少なさや、ビジュアル的な問題からデュビアやローチ系よりも選ばれやすい傾向にあります。ただ、一般にもっとも効率よくカロリーを摂取できるのはデュビアだと言われています。)
(また、ブラックナイト系統の黒化個体を飼育される場合は、黒コオロギと黒ソイルで管理すると黒さが抜けにくいと言われています。)
給餌の頻度
誕生直後(誕生〜初回脱皮):絶食
ベビー(初回脱皮〜生後3,4ヶ月):コオロギSS or Sサイズを毎日食べる分だけ
ヤング(4~12ヶ月):顔のサイズに合わせ、3, 4日に1回食べられる分だけ
アダルト(1歳以上):3, 4日に1回、体格にあったサイズを4~6匹
脱皮前:体のモヤが目立ってきた段階で、脱皮完了まで絶食推奨
妊娠メス:1回量を変えず、給餌頻度をあげる。カルシウムパウダー添加量も増やしておく
個体差があるため、レオパの体格を見ながら調整してください。太りすぎも病気の原因になりますので注意しましょう。
水やり
いつでも新鮮な水を飲めるように、水入れをケージ内に設置してください。毎日水を取り替えて清潔に保ちましょう。
3. 日々の健康チェック
レオパの健康状態は、毎日観察することで把握できます。
・食欲:餌をしっかり食べているか、食べようとする素振りはあるか
・体格:背骨や腰骨が浮いていないか、尻尾の一番太い箇所が首の付け根と同等か、脇の下の肉の付き方は正常か
・脱皮:脱皮がスムーズに行われているか、指先や顔まわり、尻尾に破片が残ったり、脱皮を途中で諦めていないか
・排泄物:排泄物の形状や色に異常はないか
・顔周り:口周りや後頭部、耳などに異常な腫れ、色合いはないか
・歩き方:まっすぐ歩けているか
何か気になる症状が見られた場合は、早めに爬虫類を診てくれる動物病院に相談しましょう。
4. まとめ:快適なレオパライフのために
レオパは、正しい飼育方法を実践すれば、長く元気に暮らしてくれる素敵なパートナーです。
・温度と湿度の管理を徹底する。
・栄養バランスの取れた餌を与える。
・毎日観察して、健康状態をチェックする。
これらのポイントをしっかり押さえて、ぜひ楽しいレオパライフを送ってください。何か困ったことがあれば、いつでも当院までご相談ください。