猫も犬も人も危ない感染症!?SFTSが関東で発生しました。
◯SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の発生が関東で報告されました
最近、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の発生例が関東の茨城県にて2025年5月に報告され、7月には関東の神奈川県と東北の秋田県でも発生が報告されました。また、三重県でも残念ながら感染された人が亡くなってしまった報告があり、ニュースがテレビや新聞、ネットなどで取り上げられることが増えてきました。
◯SFTS(重症熱性血小板減少症候群)ってなに?
SFTSとは、マダニから感染する名前の通り発熱と血液中の血小板の減少を引き起こす致死性のウイルス性疾患で、日本では2013年に初めて患者が報告されました。この病気は猫だけでなく人にも感染する致死性の人獣共通感染症となります。
これまでは「西日本の地域の病気」であるといった印象がありましたが、現在では先月発生報告のあった茨城県や神奈川県を含め、関東である東京都にもリスクが迫っていると考えられます。この病気の怖い点は、マダニからの感染だけでなく、発症した動物から人へ感染し発症する可能性があることです。
発症した場合の致死率は非常に高く、
・猫:約60〜80%
・ 犬:約20〜40%
・人:約10〜30% とされています。
◯発生時期
基本的にはマダニの活動が活発な春〜秋に報告が多い病気になります。しかしながら昨年2024年の月別の報告では冬季の12月から2月でも複数例発生報告がされています。直近では暖冬や温暖化の影響もあるため基本的には通年で注意が必要な感染症となっております。
◯感染予防のために必要な対策
・感染した可能性のある猫や野生動物への接触を避けること
・マダニの生息地である草木の多い場所へ行く際は、肌の露出を避ける服装を心がけること
・ 飼育している犬や猫には、ノミ・マダニ予防薬を定期的に投与すること
「先生、うちの子はノミ・マダニ予防薬を使っているのでSFTSは心配ないですよね?」 といった質問が診察時などに飼い主様より聞かれることがあります。
こちらの回答として『マダニに刺された時点でウイルスが体内に入ってくる可能性があるため、予防薬を使っていても予防薬は吸血したマダニに対して効果があるものであり完全には防げません。』という内容になります。
しかしながら、予防薬を接種していれば吸血したダニは死亡するため、長時間の寄生を防ぎ感染の確率を下げたり、他の同居の子や人、家族への二次感染を防ぐ意味ではとても大切な対策となります。この機会にしっかりとノミダニの予防薬を行いましょう。当院では犬猫の予防薬を取り扱っておりますので、お気軽にご相談下さい。
また、野外で弱っている猫ちゃんを保護する場合も、SFTSに感染している可能性があります。保護の際は、必ず十分な知識を持った方が対応し、早期に動物病院への受診と症状の連絡を行うことを推奨します。※人での発症の場合は人間の医療機関への受診をお願いします。
正しい知識をつけて、予防や対策をしっかりと行い家族であるねこちゃんやわんちゃんまた私達の命も守っていきましょう。