犬は様々な病気に感染するリスクがありますが、その病気の1つにフィラリア症があります。この記事では犬のフィラリア症の予防方法や症状、検査などについて詳しく解説します。
犬のフィラリアってどんな病気?
犬のフィラリア症は犬糸状虫(フィラリア)という寄生虫が原因で発症する病気です。犬の心臓や肺動脈に犬糸状虫が寄生することにより、血液の流れが悪くなり、様々な身体の不調を引き起こします。
犬のフィラリアはどうやって感染する?
犬のフィラリア症の感染経路となるのは「蚊」です。
フィラリア症に感染している犬の血液を蚊が吸うと、ミクロフィアラリアというフィラリアの幼虫が蚊の体内に入ります。
フィラリアに感染している蚊がまた別の犬を吸血すると、蚊の体内に寄生していたミクロフィラリアが犬の体内に入り込み、その犬もフィラリアに感染してしまいます。
このようにして、フィラリア症の感染は広がっていきます。
フィラリアは予防すれば怖くない病気
犬のフィラリア症は重症化すると死に至る病気ですが、正しく予防をすれば感染を防ぐことができる病気です。
愛犬を病気から守るためにも、毎年必ずフィラリア症の予防処置を行いましょう。
犬のフィラリアの予防方法
犬のフィラリア症の予防方法は薬によって行われます。
フィラリアの予防薬の種類
フィラリア症の予防薬は大きく分けて3つの種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、犬の好みや体質で選ぶと良いでしょう。
・経口タイプ
口から薬を飲ませるタイプの予防薬で、錠剤タイプとチュアブルタイプがあります。錠剤タイプはフードやおやつに包み込んで与えたり、喉の奥に押し当てて飲ませる薬になります。
チュアブルタイプは薬が練りこまれたおやつタイプの薬です。食べるのが大好きな犬や、錠剤だと中々飲み込んでくれない犬におすすめの剤形です。ただし食物アレルギーがある場合は、チュアブルタイプの薬が飲めないケースもあります。
・スポットタイプ
液体の薬を首の後ろに垂らし、皮膚から浸透させるタイプの薬です。経口タイプのように吐き出してしまう心配がなく、食物アレルギーがある犬でも安心して使用できます。薬を塗布してから乾燥するまではシャンプーができない事や、薬を舐め取られてしまうリスクがデメリットとしてあげられます。また、肌が弱い犬は薬で皮膚が荒れてしまうリスクもあります。
・注射タイプ
皮下注射で投与するタイプの薬です。効果が1年間持続するため、通院の手間や飲み忘れのリスクを回避する事が可能です。ただし少なからず副作用のリスクがあるため、犬の状態をよく見て接種の検討をする必要があります。
フィラリア以外にも効果を発揮する予防薬について
薬のタイプによっては、フィラリア症以外の感染症も一緒に予防できる薬があります。
○経口タイプ(フィラリア予防のみ):フィラリア
○経口タイプ(オールインワン):フィラリア・ノミ・マダニ・お腹の寄生虫
○スポットタイプ:フィラリア・ノミ・ダニ(マダニ以外)
○注射:フィラリア
経口タイプの中でもオールインワンタイプの薬は、フィラリア症以外にもノミやマダニ、お腹の寄生虫を一緒に予防する事が可能です。他の薬を飲ませる手間が無くなるため、犬にとっても飼い主にとっても便利な薬になりますが、薬を飲み込む事が苦手だったり吐き出しやすい子には不向きになります。犬の好みや体質に合った薬を選ぶようにしましょう。
フィラリア症予防薬の投薬の時期について
フィラリアの原因は「蚊」なので、蚊が出る季節のみ予防をするのが一般的でしたが、近年は温暖化によって冬でも蚊がいる可能性が高くなっています。予防をより確実にするため、1年間通して予防薬を投薬することをおすすめします。
犬のフィラリア予防薬はネット通販で買って大丈夫?
インターネットでフィラリア症の予防薬が販売されているサイトを見つけた事がある方も多いかと思いますが、実はインターネットでフィラリア症の予防薬を購入することはとてもリスクのある行為です。
日本国内でのネット販売は法律違反
日本ではフィラリア症の予防薬は要指導薬に該当するため、必ず医師の処方がないと入手できないことになっています。日本国内の事業者がフィラリア症の予防薬をネットで販売することは法律違反に当たります。
海外からの個人輸入は全て自己責任
一方で海外ではフィラリア症の予防薬はペットショップやネットショップで購入する事が可能です。そのため、海外のサイトからフィラリア症の予防薬を個人輸入することは法律違反には当たりません。
ただし、品質と安全性の保証が何もなく、薬が有効期限切れだったり偽物であるリスクが伴います。個人輸入した薬で愛犬に健康被害が生じても、全て自己責任となります。
安全に予防薬を使用したい場合は、必ず医師の処方のもと、薬を使用するようにしましょう。
犬のフィラリア予防薬の費用
フィラリア症の予防薬の費用は、薬の種類やメーカーによって異なります。病院によってどのメーカーの薬を使っているかも異なるため、かかりつけ医に費用を確認するのが確実ですが、大体の相場は以下のようになっています。
○経口タイプ(フィラリア予防のみ):500〜1,500円/月
○経口タイプ(オールインワン):2,000〜4,000円/月
○スポットタイプ:1,500〜2,500円/月
○注射:かかりつけ医に相談
フィラリア症予防のみの経口タイプは比較的費用が安価ではありますが、ノミ・ダニなどの他の感染症予防薬の費用もかかってくる事に注意してください。感染症予防薬の費用をトータルで見ると、ノミ・ダニ・お腹の寄生虫を1つで予防できるオールインワンタイプの方が安くなるケースもあるため、全体の費用で判断すると良いでしょう。
犬のフィラリアの検査について
フィラリア症の予防薬を投与する前に必ず必要になるのが、フィラリア症の検査です。
なぜ予防薬の前に検査が必要なの?
犬がフィラリア症に感染している状態で予防薬を摂取すると、体内に寄生している大量のフィラリアの幼虫が死滅します。体内で急に大量の幼虫が死滅すると、犬がショック反応を起こす危険性があります。このリスクを回避するため、予防薬の投与前にはフィラリア症の検査が必須になります。
毎年検査をする必要があるの?
フィラリアの予防薬は通年で行う事を推奨していますが、蚊が出る季節のみ予防薬を投薬する病院も多いです。そのため薬の飲み終わりの時期に、蚊がまだ生息して刺されてしまい、感染してしまうケースがあります。
または錠剤を吐き出してしまっていたり、薬が正しく投与されていない事に気がつかず、感染してしまっていた、というケースもあります。
フィラリア症に感染している状態で予防薬を飲むことは大変危険ですので、休薬期間がある場合は、毎年必ずフィラリア症の検査は受ける必要があります。
ただし、フィラリアの予防薬を通年で投薬している場合は、フィラリア症の検査を毎年行う必要はありません。
もし犬がフィラリアにかかったらどうなる?
フィラリアは犬の肺動脈や心臓に寄生するため、主に肺機能や心臓機能に影響を及ぼす事が多いです。
犬のフィラリア症の症状
・咳をする
・呼吸が浅くなる
・散歩や運動を嫌がるようになる
・散歩や運動の後に失神する
・食欲がなくなる
・体重が落ちる など
重度になると貧血や腹水、血尿などの症状が出てきます。フィラリア症は重症化すると死に至る危険性があります。また、フィラリア症の治療は犬にとってかなりの負担になるため、毎年必ず予防をするように心がけてください。