毎年健康診断を受けることは、私たちが健康に過ごすために必要不可欠です。では鳥はどうでしょうか。鳥は私たちのように症状を医師に伝えることができません。またセキセイインコなどの小型のインコは寿命が10年ほどで、当然ですが私たち人間よりもよりも早く年を取っていきます。一日でも長く健康に過ごすためにも、鳥にも健康診断が必要です。この記事ではセキセイインコをはじめとするペットバードの健康診断の目的、検査項目、実際に受けるときの注意点などを解説していきます。
鳥の健康診断の目的
1.生活環境や生活習慣を振り返り、改善するきっかけにする
健康診断に行くことによって健康に関する様々な情報を得ることができます。特に、適切な体型であるかは健康面に大きく影響します。インコの体型は個体差もあるので体重だけでは判断できません。獣医師に触診してもらい、確認してもらいましょう。また、生活環境や生活習慣に関するアドバイスをもらえる良い機会にもなります。
2.病気を早期発見し、早期治療につなげる
鳥は病気を隠します。自然界では自分の弱みを見せると敵に襲われることががあるからです。また、毎日一緒にいると徐々に進行する異常に案外気が付きません。病気になってからの治療は鳥にとっても飼い主にとっても大きな負担となります。定期的に健康診断を受けさせて予防しましょう。
3.主治医を確保する
鳥の病気は進行が早く、具合が悪くなってからあわてても間に合いません。インコを迎える前に、鳥を確実に診てもらえる動物病院を見つけておきましょう。お迎え直後の健康診断から、先生とのお付き合いは始まります。いつまでもインコが健康で安心して暮らすためには、頼りになるホームドクターの存在は欠かせないのです。健康診断で獣医師の腕前を確認しましょう。
鳥の健康診断の項目と費用は?
鳥の健康診断の基本項目は、身体検査、そのう液検査、糞便検査です。それに加えてレントゲン検査や血液検査を行うことによってさらに詳しい情報を得ることができます。また、爪切りや羽切りなどのデイリーケアも行ってくれる病院がほとんどです。どの項目を受けるかは、鳥の年齢、状態、飼い主の予算によって変わりますので獣医師にご相談ください。費用についてですが、Anicure動物病院では身体検査、そのう液検査、糞便検査まで行って初診で5000円ほどです。その他の項目については病院までお尋ねください。
身体検査
翼・羽毛の状態、筋肉や脂肪の付き具合、骨格・足や指の異常の有無などを視診、触診によって確認します。また、体重測定や聴診も行います。
そのう液検査
そのう液を採取して顕微鏡で観察します。細菌叢のチェック、真菌、トリコモナス、炎症性細胞の有無をチェックします。
糞便検査
肉眼的に糞便、尿酸、水分尿をチェックします。糞便を顕微鏡で観察し、細菌叢のチェックから真菌、寄生虫、炎症性細胞の有無、デンプンや脂肪の消化状態を確認します。
レントゲン検査
主に骨格と内臓の状態を確認します。骨格異常・骨髄骨の有無、心臓、肺、気嚢、甲状腺、胃、肝臓、腎臓、生殖器の状態をチェックします。
血液検査
採血を行い、生化学検査や血球計算を行います。主に肝・腎機能、血糖値、脂質をチェックします。
遺伝子検査
様々な感染症(真菌、ウイルス、クラミジアなど)の診断、オスかメスかの判定を行います。
鳥の健康診断はどのタイミングで受ければいいの?
まず、インコをお迎えしたときの健康診断は必須です。特にペットショップで入手した幼若鳥は感染症を保有していることが多いため、臨床症状がみられなくても健康診断として遺伝子検査による感染症検査を行うことが推奨されます。特に気を付けたいのが鳥クラミジア症、BFD、PBFDなどといった病気です。先住鳥がいる場合は病気がうつってしまう可能性があるため、健康だとわかるまでは一緒に遊ばせるのは避けましょう。その後は年2回、春先と秋口に受けるのがおすすめです。
鳥を健康診断に連れて行くときのポイントは?
キャリーケースに入れる
移動用の小さいキャリーケースに入れます。ここで気を付けたいのは、移動中にインコを逃がしてしまうことです。しっかりと蓋がロックできるものにしましょう。扉に結束バンドやナスカンをつけるとさらに安心です。下にはキッチンペーパーなどをひき、餌を撒きます。水はこぼれるとインコにかかって体温を奪ってしまうので、入れないかこぼれないように工夫しましょう。インコは2~3時間は水を飲まなくても大丈夫です。また、外から見えないようにケースをバッグや毛布で覆ってあげるとインコは安心します。病院に行く時や災害時のために、普段からキャリーケースに慣れさせておきましょう。
温度調節をする
中に温度計を入れて移動時は常に温度を気にかけてあげましょう。冬は使い捨てカイロや湯たんぽで保温します。使い捨てカイロは酸素を大量に消費するのでケースの外側に設置し、空気の通り道を確保します。夏は直接日光が当たらないようにし、温度が上がりすぎないように黒や厚手のバッグは避けるなど工夫しましょう。少しの時間でも、インコを車の中に放置するのは熱中症の危険があるので絶対にやめましょう。
糞を確保する
糞便検査のため、糞を乾燥しないようにラップに包んで持参します。鳥は15~30分の間に1度は糞をするので、持参できなくても診察までにしていればそれを使います。
動画や写真などの記録をもっていく
鳥の普段の様子や住居の動画や写真、普段の体重の記録など病院には可能な限り情報を持ってきていただけると非常に診察の参考になります。ぜひ積極的に普段から記録を残すようにしましょう。
健康診断は鳥にとってストレスにならない?
健康診断で心配なのは、鳥にとってストレスにならないか、ということです。その子の性格や年齢にもよりますが、体の小さな鳥にとって移動や検査は多少なりともストレスになります。また、ストレスの程度は検査項目によっても異なります。例えば、糞便検査は鳥の体には触れないので負担はありませんが、そのう検査では口からチューブを突っ込んでそのう液を採取するので鳥にとって負担になります。一度に負担のかかる検査をたくさんすると大きなストレスになってしまうので、糞便検査以外の検査はその子にとって必要なものを獣医師と相談して決めましょう。また、連れて行くときは比較的病院が空いている時間を選ぶことも待ち時間が減り、負担の軽減につながります。インコは寒さに弱いので真冬に連れて行くのは避けましょう。
鳥にも健康診断を!
インコが健康診断を受けることは、飼っているインコと長く一緒に過ごすために必要不可欠です。ぜひ定期的な健康診断を受けさせましょう!