乳歯が残っている方/歯が少ない方

犬の乳歯の生え変わり


犬の永久歯は全部で42本あり、内訳は切歯(前歯)が12本、犬歯(牙)が4本、臼歯(奥歯)が26本となっています。
対して乳歯は全部で28本で、後臼歯がありません。

犬は一生に一回、乳歯から永久歯に生え変わり、その時期は歯によってことなります。
切歯は生後4〜6週齢で生え始め、生後3〜5ヶ月で永久歯に生え変わります。
犬歯は生後5〜6週齢で生え始め、生後4〜6ヶ月で永久歯に生え変わります。
前臼歯は生後6週齢で生え始め、生後4〜5ヶ月で永久歯に生え変わり、後臼歯は生後5〜7ヶ月で生えてきます。

このように、歯が生え始める時期も違うのですが、端的に言うと生後7ヶ月を超えても乳歯が残っている場合、その後も乳歯が抜けずに残る乳歯遺残となる可能性が高くなります。
また、乳歯から永久歯に生え変わる際、基本的に永久歯は口の内側、つまり中心から外に向かって乳歯を押し上げるように生えてきます。

乳歯が抜ける目安として、一般的には永久歯が乳歯の背の高さの2/3ほどまで生えると抜けると言われています。
そのため、乳歯と永久歯が同じ高さで存在している場合、その場所の乳歯は抜けずに残ってしまう可能性があります。

乳歯が残ることの危険性

では、乳歯が残ってしまうと具体的にどのようなリスクがあるのか解説していきましょう。
写真の症例は上顎の犬歯に乳歯遺残があります。

永久歯と乳歯の間には他の歯と比較し歯垢と歯石が沈着していることが分かります。
このように、乳歯遺残は歯の間隙を狭くしてしまい、それによって歯垢や歯石の沈着が進んでしまいます。
ひいてはこの部分に歯周炎が起きてしまう原因となります。
抜けずに残った乳歯を放置すると、永久歯まで歯周病の影響を受けやすくなってしまいます。

欠損歯と埋伏歯

乳歯が残っている以外にも、小型犬では歯が足りないということがしばしば起こります。
あるべき永久歯が無いことを欠損歯と言います。
この欠損歯と区別がつきづらいのが生えるべき歯が生えずに埋まったままになる埋伏歯です。

正常な犬の歯並びを見てみましょう。


切歯と後臼歯は写真に写りきってはいませんが、重要なのは番号がついている前臼歯です。
お家で愛犬の歯並びを見るときは黄色い矢印の大きな歯を目印に、間に何本歯があるかを確認してみましょう。
目印となる大きな犬歯と臼歯の間には通常、上顎は歯が3本、下顎は歯が4本生えています。
続いて、下の写真を見てみましょう。



先程の子の歯並びと違って、目印の歯の間には上の歯が1本、下の歯が2本しか生えていません。
つまり、上の歯も下の歯も2本ずつ少ないのです。
ここで、足りない歯がもともと無い欠損歯なのか、埋まっている埋伏歯なのかがとても重要になります。
欠損歯と埋伏歯は見た目で見分けることはできないため、レントゲン写真で確認します。


上の写真の子は、レントゲンで確認したところあるべき歯がない欠損歯でした。
欠損歯は健康上、特に問題になることはないためこの子は歯石を除去して処置を終えています。
もし埋伏歯だった場合、埋まっている歯を中心に炎症を起こし歯茎が腫れてしまう含歯性嚢胞の原因となってしまいます。
含歯性嚢胞は放置すると歯を支える歯槽骨が破壊されてしまうため、歯が少なく埋伏歯の可能性がある場合は適切な検査と治療が必要です。

当院での治療の流れ


① カウンセリング/口腔検査

問診票を記載していただき日頃のデンタルケアの内容やお口のお悩みを確認します。
続いて口腔内細菌の検査、歯肉の炎症スコア等、麻酔をかけずにできる検査を行い、口腔内環境を確認します。
このカウンセリングを元に皆様に合った治療法を提案させていただきます。

② 麻酔下歯科検査/乳歯抜歯

全身麻酔下で乳歯や埋伏歯を確認します。
乳歯の生え方によっては抜歯が適応になります。
埋伏歯が存在する場合は切開し、埋まっている歯を除去します。


③ ホームデンタルケア

施術後1~2週間で口内環境の確認を行います。
また、担当看護師よりブラッシング指導も行いセルフケアの質を上げて良い口腔内環境を維持していきます。
せっかく綺麗なお口になっても、ブラッシングを怠るといつかは元に戻ってしまいます。
当院の歯科診療と二人三脚で健康なお口の状態を保っていきましょう。

破折歯治療のお費用

・カウンセリング/口腔検査:¥10,000〜
・歯科レントゲン:¥40,000~(術前検査や麻酔費用も込み)
・歯石除去:¥20,000~
・乳歯抜歯:¥2,000~
・埋伏歯切開除去:¥40,000~
・歯磨き指導:¥1,500~

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